9月のテーマ:「トイレについて」~トイレトレーニングの準備~
第1回 トイレトレーニングの準備
著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生
子ども支援研究所 専任相談員 大越和美先生
-
おしっこが出るしくみ
トイレトレーニングについて説明する前に、まずおしっこが出る仕組みについて説明します。
おしっこは腎臓で作られ、膀胱に送られます。
膀胱に一定量がたまると、「おしっこが溜まった」と脳にサインが送られます。
脳におしっこが溜まったことが伝わると、「おしっこをしたい」という尿意を感じます。
おしっこをするためには、神経が発達して、尿意を感じることがまず必要になります。
-
おしっこにかかわる身体の発達
生後6ヶ月ごろまでは、膀胱が小さいため、1日に15回程度とかなり頻繁におしっこをします。
7ヶ月ごろになると、膀胱が大きくなり、無意識におしっこをためておくことができるようになります。
ただし「おしっこが出そう」という尿意はまだありません。
1歳を過ぎると、だんだん尿意を感じるようになります。
このときに、大人が「おしっこ出たね」と声をかけると、自分のしたおしっこを見て、これがおしっこか、と認識することができます。
「おしっこが出たね」「おしっこが出るとすっきりするね」と大人が積極的に声をかけてください。トイレトレーニングをするためには、おしっこを認識すること、おしっこが出たらすっきりすることがわかることが必要です。
-
トイレトレーニングを始めるための条件
どのタイミングでトイレトレーニングを始めればよいのでしょうか?
一般的には、次の三つの条件がそろっていることが必要となります。
まず1つは、自分で歩いておしっこに行けることです。
次に、言葉が理解でき、「おしっこをしたい」という意思表示ができることです。
3つめは、おしっこと次のおしっこまでの間隔が2時間程度あいていることが必要です。
おむつを替えようとおむつを脱がせても、おむつが濡れていないことがあります。
この時間が2時間程度あくようになったらトイレトレーニングを始める時期になったと思ってください。
-
トイレトレーニングのために準備するもの
トイレトレーニングをするために大人が準備するものは、子どもの身体に合った便座と、脱ぎ着しやすい服です。
おまるか補助便座かは使いやすさや置く場所があるかどうかによって家庭に合わせて選ぶとよいでしょう。
つなぎの服やボタンが多いズボンなどではなく、子どもが自分で上げ下げできる服を選びましょう。
トイレトレーニングというと、まずトレーニングパンツを買う人も多いと思いますが、絶対に必要なものというわけではありません。
子どもにとっては、普通のパンツを履いていておしっこが出て足まで濡れた、という方がおしっこが出た感覚がわかりやすいです。
トレーニングパンツは布が厚手になっていて、おしっこが外に漏れないようになっています。
床に漏れることが少ないので、おもらしの度に床を大掃除する必要はありません。
おもらしの度に床を掃除するのが大変、と感じるお母さんはトレーニングパンツを使用したほうが良いでしょう。
ただし、トレーニングパンツがいけないというわけではありません。
トレーニングパンツにはキャラクターのついたかわいいものもたくさんあります。
かわいいパンツでトイレに行こうね、とトイレトレーニングへのやる気を高めるためには効果的です。
著者紹介
西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。
大越和美
子ども支援研究所 専任相談員
特別支援コーディネーターとして長年幼稚園に勤務。
現在は、数多くの保育園や幼稚園を
巡回し保育者や保護者の支援に取り組んでいる。
過去のコラムはこちらから
8月第4回「夜泣き、夜驚について」を読む
8月第3回「効果的な寝かしつけ方」を読む
8月第2回「お昼寝について」を読む
8月第1回「子どもにとって適切な睡眠時間とは?」を読む
7月のコラム「テレビ・ビデオの見せ方」を読む
6月のコラム「祖父母との上手な関わり方」を読む
5月のコラム「病院のかかり方」を読む
4月のコラム「叱り方について」を読む