8月第1回:子どもにとって適切な睡眠時間とは?


  • 子どもにとって適切な睡眠時間とは?

著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生

  • 子どもの睡眠のリズム

寝ている子ども子どもの睡眠時間や睡眠のリズムは赤ちゃんのころから小学校にあがるころまでに大きく変化していきます。生まれて間もない赤ちゃんは昼夜関係なく3~4時間ごとに寝たり起きたりを繰り返していますが、生後3、4ヶ月ごろになると夜に寝て、日に1、2度昼寝をするというパターンになっていきます。そして、6歳ごろまでに昼寝をしなくても過ごせる大人と同じ睡眠のリズムになり、食事や日中の活動を含めた生活のリズムが出来てきます。この生活のリズムは大人が意識的に作ってあげなければなりません。

近年、子どもの睡眠時間がどんどん短くなっています。大人の生活が夜型化し、それに伴って子どもの生活も夜型化しているためです。子どもに必要な睡眠時間は子どもによって個人差がありますが、めやすとして1歳~3歳の子どもには1日に約10時間、6歳の子どもには約9時間の睡眠が必要です。

  • 夜更かしをするとどうなるか

寝ている女の子夜寝なかったら、朝遅く起きたり昼寝をしたりして睡眠時間を補えばいい、と考える人もいるかもしれませんが、夜間の睡眠と昼間の睡眠の質は異なります。夜に寝ると成長に必要なホルモンがしっかりと分泌されます。

夜に十分な睡眠をとらない状態が続くと、睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまい、時差ぼけの状態がずっと続きます。そうなると、目覚めが悪くなる、慢性的にだるさを感じる、イライラが高まるといった悪影響が生じます。最近の研究では、睡眠時間が短い場合には、肥満になりやすいことが明らかになっています。

大人であれば身体がしっかりでき上がっているので多少睡眠や食事の時間がずれても、身体の調子を調整することが可能です。しかし、子どもは成長途中であり、そういったコントロールができません。子どもの生活リズムは大人が意識的に調整しなくてはならないのです。

 

著者紹介

西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。

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