気になる発達障害「アスペルガー障害」とその診断方法

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アスペルガー障害とは?

 自閉症の特徴がありつつも、ことばの遅れなど知的発達の遅滞がない状態のことを、アスペルガー障害といいます。

 アスペルガー障害と診断される子どもには、以下の傾向が見られます。

 ※アスペルガー障害と同様の意味で、「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」ということばが使われることがあります。

傾向1:他人の気持ちを想像することが苦手

 アスペルガー障害の子どもは、「他人の気持ちを想像すること」が苦手です。具体的には、

・自分の発言や態度を、ほかの人が聞いたり、見たりしたら、どう思うか想像する

・ひとの表情を認識する

といったことが不得意です。

 そのため、お父さんやお母さんが怒った表情をしていても、怒っていることにまったく気がつかなかったり、学校で足が遅い子に対して「走るの、一番遅かったね」と言ってしまうなど、相手を傷つけてしまう発言をしがちです。

傾向2:こだわりが強い

 アスペルガー障害と診断される子どもは、ある特定の物事に対して、強い興味や関心を示すことがあります。

たとえば……

・鉄道博士と呼ばれるほど電車のことに詳しく、車両の名前や型を覚えている。虫博士、自動車博士、国旗博士、カレンダーボーイ(何年の何月何日は何曜日かを覚えている)などのパターンもある

・英語や漢字に興味を示し、幼児の頃から英語や漢字を読む

 ひとつのことに強く興味を持つことは、決して悪いことではありません。しかしその一方で、アスペルガー障害の子どもは、自分の関心のないことには見向きもしないことがあります。興味や関心の幅がせまいことも、アスペルガー障害の子どもの特徴の1つです。

 また、一度「これ」と決めたルールにこだわるため、そのルールの変化を受け入れるのが苦手なのも特徴です。これは自閉症の子どもと共通する傾向です。

 たとえば、アスペルガー障害の子どもが、お弁当の時間などに「いつもAちゃんの隣に座る」と決めているとします。この場合、ほかの子がAちゃんの隣に座っていても「私は絶対にAちゃんの隣に座る!」と主張して、友達とトラブルになることがあります。

 このように、変化を受け入れられず、自分の決めたルールを周囲に押しつけてしまうことがあります。

傾向3:一方的に話をする

 アスペルガー障害の子どものなかには、聞き手がその話に興味があるかどうかは関係なく、自分の好きなことを延々と話し続けてしまう子がいます。

 一見するとおしゃべり好きで、他人と関わることが得意な子どもに見えても、よく聞いてみると話がかみ合っていなかったりするのは、アスペルガー障害の特徴です。

 これは興味や関心の幅せまいこと、人の気持ちを想像することが苦手なのが原因です。

傾向4:ことばを文字どおりにとらえてしまう

 アスペルガー障害の子どもは、たとえ話や暗に意味していること、ことばの裏にある意味を察することが苦手です。

 たとえば、アスペルガー障害の子どもが、工作中に「頭を使ってやってごらんなさい」とお母さんに言われたとします。「頭を使う」イコール「知恵を働かせる」という比喩がくみ取れず、その結果、その子どもは本当に自分の「頭を使って」、頭で工作物を押したりします。

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