2月のテーマ:習い事について~子どもの習い事に親としてどう関わるか~
子どもの習い事に親としてどう関わるか
著者:富山大学 人間発達科学部 准教授 西館有沙先生
子どもが習い事をしている場合に、親が陥りがちな失敗があります。
一つは、子どもの習い事に口を出し過ぎてしまうということです。
「練習はしたの?」「課題はもう終わったの?」と子どもを追い立てて、次から次へと指示を出していると、子どもはひたすら親から言われたことをこなすだけになってしまいます。
「言われてやる」ことばかりだと、子どもは楽しくありません。
そもそも、子どもは楽しいと思うことであれば、自分から進んで取り組みます。
一方で、大人から「やりなさい」と言われ続けると、楽しかったことも楽しいと思えなくなり、やる気も低まってしまいます。
「子どもがやりたいと言って始めた習い事なのだから、途中で投げ出すようなことはさせたくない」と考える人もいるでしょう。
だからといって、「自分でやりたいと言ったのだからやりなさい」と子どもに伝えるだけだと、上で述べたように、子どもにとって習い事が苦痛になっていきます。
「やりたいと言わなければよかった」と思いながら、しぶしぶ習い事に通うことになってしまいます。
幼児期の子どもは、自分で計画を立てて物事を進めるということがまだむずかしいのです。
そのため、子どもが進んでやろうとしない、習い事を楽しんでいないという状態であれば、ちょっとしたことをほめたり、上手になったことを親戚やご近所に披露したりして、喜びをもたせるようにしましょう。
「自分が言ったことに責任をもつ」ことの大切さを教えるのは、子どもがもう少し大きくなってからにすべきです。
もう一つ、親が陥りがちな失敗は、子どもが習い事を続けたがっていると思いこみ、子どもにそう言わせることです。
「あなたは○○がしたいのよね?」という親からの問いかけに、子どもは、本当はしたくないと思っていなくても、うなずいてしまうことがあります。
「ママやパパをがっかりさせたくない」「やりたくないと言えば怒られるかもしれない」という思いから、うなずいてしまうのです。
幼児期の子どもには、自分から興味をもったものに、楽しんで取り組む体験が必要です。
その体験が多いほど、子どもはその心と身体を伸ばしていきます。
それは、楽しい気分で取り組んだことは、子どもの頭に残りやすく、また、そこからさまざまな興味や関心が生まれてくるからです。
そのような体験をたくさんできる環境をつくってあげるようにしましょう。
著者紹介
西館 有沙/にしだて・ありさ 富山大学 人間発達科学部 准教授 社会福祉士・保育士。
専門は児童福祉学、子育て支援。
大学では保育者養成を担当し、また、地域の保育者を対象として相談支援を行ったり、勉強会を開催したりしている。
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2月第3回「習い事について~複数の習い事をさせてもいい?~」を読む
2月第2回「習い事について~英語は早くから習わせた方がよい?~」を読む
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