2月のテーマ:習い事について~英語は早くから習わせた方がよい?~


英語は早くから習わせた方がよい?

 著者:富山大学 人間発達科学部 准教授 西館有沙先生

033568国際社会の中で、さまざまな人と交流したり、ともに仕事をしたりできるようになってほしい。

そんな思いで、子どもを英会話教室に通わせたいと思う親が増えています。

「私は学校で英語を習ったけれど、英語を話す自信がない」と感じている人は少なくないでしょう。

だからこそ、英語はできるだけ早いうちに習わせた方がよいのではないか、いつから始めるのがよいのかという相談が、子育て相談会ではよく聞かれます。

外国の人と仕事をする機会のある人に話を聞くと、「ネイティブ(英語を母国語としている人)のように話せるほどの英語力がなくても、また、ネイティブのように発音できなくても大丈夫」「大人になってからでも、普通の会話をするくらいの力であれば、いくらでも身につけられる」と言います。

たしかに、外国の人がカタコトで日本語を話すのを聞いても、私たちは違和感をもちません。

相手の言葉の意味が通じて会話が成り立つのであれば、発音がぎこちないといった程度のことはあまり気にしないものです。

結論は、早くから英語を習わせないと、英語力が身につかないというわけではないということです。

ちなみに、「英語を聞き取るためには、ネイティブの発音を小さいうちから聞いて、その発音になじんでおくことが必要だ」という人がいます。

しかし、子どもの頃に英会話教室に通っていなくても、留学の経験がなくても、英語を聞き取ることのできる人はたくさんいます。

小さいうちに大切にしたいことは、自分の思いを言葉にして語れる力をつけることです。

自分の思いを言葉で語ろうとする意欲を育てることです。

英語を母国語とする国に住む予定があるというならば話は別ですが、そうでなければ、自分の思いを相手に伝えるためにはたくさんの日本語を知っていなくてはなりません。

子どもが小さいうちは、いろいろな日本語を覚えて、それを使って自分の思いや気持ちを話す楽しさを感じることが必要です。

子どもがオタマジャクシを発見して指をさしたら、親は「オタマジャクシ」とその名前を教えてやります。

そして、「カエルの赤ちゃん」「もうすぐ足が出てくるよ」などと話してやります。

子どもが興味をもったものについて親がやりとりをすることが、子どもの語彙を増やしていきます。

このように、子どもの日本語の表現力を育てることは、子どもが将来、英語の表現力をつけるうえでも大切なことです。

 

著者紹介

西館 有沙/にしだて・ありさ 富山大学 人間発達科学部 准教授 社会福祉士・保育士。

専門は児童福祉学、子育て支援。

大学では保育者養成を担当し、また、地域の保育者を対象として相談支援を行ったり、勉強会を開催したりしている。

 

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