1月のテーマ:子どもの特性について~人前で下品な言葉をわざと使う時の対処法~
第3回:子どもが人前で下品な言葉をわざと使うときの対処法
著者:筑波大学 准教授 水野智美先生
子どもは、うんち、おしっこ、ちんちんなど、下ネタに関する言葉が大好きです。
なぜかと言えば、このような言葉を大人に使うと、大人は慌てたり、困ったりしてくれるからです。
一般に、大人の世界ではこのような言葉はタブーとされているので、人前では口にしないのが常識です。
子どもはそんな常識は知らないので、「よくわからないけれど、この言葉を言うと、大人がみんな反応してくれる、おもしろい!」と感じるのです。
「死ね」とか「バカ」、「デブ」などの相手を攻撃したり、傷つけたりする言葉を使うことに対しては、子どもに使ってはいけないことを教えていく必要があります。
これらの言葉は、相手を傷つける意味を強く持っているからです。
それを言われると、相手が嫌な気持ちになることを話し、「お母さんは、その言葉を言われると傷つく」などと、お母さん自身が悲しい気持ちになることを伝えてください。
一方、うんちやおしっこなどの言葉は、相手を傷つけるためではなく、単におもしろがって使っているに過ぎません。
まわりの人が笑ってくれるから、周囲の大人が自分にかまってくれるからという理由だけで使っています。
大人になって、その言葉を人前で使っている人はいません。人前で使っても、何も自分にメリットはなく、周囲も楽しんでいるわけではないことを知るからです。
では、幼児期にどう対処すればよいのかと言えば、大人は聞こえないふりをして、一切、反応しないことです。
「そんなことを人前で言わないの」などと叱ることも反応していることになります。
その場にいる大人にも、事情を先に説明し、みんなが反応しないようにしておけば、子どもはこの言葉を使っていても、良いことがない、誰も構ってくれないことを学習していき、そのうち使わなくなっていきます。
実は、下品な言葉を使いたがるのは、どの子どもも通る道です。
幼稚園、保育所では使わないけれど、家に帰ったら言っている子どももいます。
「うちは、下品に育てた覚えはないけれど・・・」と悩む必要はなく、うちの子どもにも、そのブームが来たのだなと考え、目くじらを立てずに、子どものブームが去るまで子どもには知らん顔をして待ちましょう。
著者紹介
水野 智美・・・筑波大学医学医療系 准教授 臨床心理士
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に
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