1月のテーマ:子どもの特性について~人見知りが激しい子どもへの対処法~


第2回:人見知りが激しい子どもへの対処法

著者:筑波大学 准教授 水野智美先生

保育園人見知りとは、知らない人や慣れていない人と出会った際に、不安や緊張が高まるために、その人たちを避けてしまったり、安心できる人にしか関わろうとしないことを言います。

人見知りは、成長する過程で多くの子どもにみられる行動です。

人見知りの程度が激しいと、「自分の育て方がわるかったのだろうか」とか「うちの子に何か問題があるのだろうか」などとお母さんたちは不安になることでしょう。

しかし、人見知りが激しいのは、育て方に問題があるわけではありません。

もともと周囲の環境の変化を敏感に感じやすい子どもであったり、知らない人への不安や警戒心が強い子どもであったりするなど、持って生まれた繊細さが子どもにあることがその背景にあります。

このように人見知りが激しい子どもに絶対にやってはいけないことは、「子どもに無理をさせる」ことです。

「子どもたちの輪の中に入れてしまえば、他の子どもと遊ぶだろう」「知らない人の中に子どもが一人で入っていけば、人と話をせざるを得ない」などと考え、強制的に子どもを知らない人の輪に入らせようとする保護者の方がいます。

このような方法で、知らない人と遊んだり、話せるようになったという子どももなかにはいますが、多くの子どもは、このようなやり方を苦痛に感じています。

そのような経験がきっかけとなり、大人になっても人と関わることに恐怖を抱き、人嫌いになってしまっているケースがあります。

子どもが安心し、この人とならば一緒にいられる、この友だちとならば遊べると感じることができれば、子どもは徐々にその人と関わることができるようになります。

子どもがそのタイミングをつかむまで、大人はゆっくりと見守ってください。

また、親が周囲の人とどのように関わり、話をするのかの手本を見せることも大切です。

近所の人と挨拶をしたり、話をする姿を親自身が子どもに示すのです。

子どもは、親の姿を見ながら、「あの人は安心して良い人である」と感じ、どうやって人に話しかければよいのか、関わっていけばよいのかを具体的に知ることができるのです。

 

著者紹介                                

水野 智美・・・筑波大学医学医療系 准教授 臨床心理士
ビシュケク1 (25)
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に取り組んでいる。

 

 

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