3月のテーマ:幼稚園、保育園について~友だちとトラブルを起こしてしまった時に、その子どもの保護者にどう対応するか~
第3回:友だちとトラブルを起こしてしまった時に、その子どもの保護者にどう対応するか
著者:筑波大学 准教授 水野智美先生
子ども支援研究所 専任相談員 大越和美先生
子ども同士にはトラブルはつきものです。
おもちゃの貸し借りがうまくできなかったり、うっかりして隣りにいた子とぶつかってきてけんかになったり、誰が1番にするかでもめたりなど、トラブルの原因はたくさんあります。
しかし、子どもはトラブルを経験しながら、どうやって自分の意見を主張したり、我慢したりしなくてはならないのか、暴力ではなく相手に意見を言うかなどを学んでいきます。
そのため、ある程度は子ども同士のトラブルを大人は見守っている必要があります。
しかし、幼児期は自分の気持ちをコントロールしたり、言葉にしたりすることがうまくできません。
そのために、つい友だちを叩いてけがをさせてしまったりすることがあります。
その際には、親が対応することも必要になってきます。
まず、幼稚園や保育所の中で子どもが友だちをけがさせてしまった場合には、まずは担任の保育者に連絡をして、その時のトラブルの状況をよく聞いてください。
あわてて相手の保護者に連絡をしてはいけません。相手に謝罪が必要な場合には、担任とよく相談し、電話で謝罪した方がいいのか、訪問して謝罪した方がいいのかなどのアドバイスをもらってください。
また、相手の保護者から治療費の請求などの何らかの要求があった場合には、必ず担任に相談をするようにしてください。
また、幼稚園や保育所以外の場所でトラブルが起きてしまった場合で、自分の子どもが明らかに悪かった場合には、まずは「すべり台で遊びたかったのね。
でも、お友だちと順番で遊ばなくてはならないのよ。
だから、お友だちを押したのはよくないことだよね」などと、子どもの気持ちに共感しながらも、手を出したのは悪いことであることを伝えた上で、相手の子どもに謝るように促します。
子どもが一人で謝れなかった場合には、「お母さんといっしょに謝ろう」などと一緒に謝るようにしてもよいです。
その後、相手の保護者に謝罪をしてください。
相手の保護者が「子ども同士のことだから気にしないで」と言ってくれる場合には、次に会った時にももう一度、「先日は、ごめんなさい」とその保護者と子どもに謝り、その後は今まで通り付き合えばよいです。
しかし、「あなたが十分に目を配っていないからこんなことになった」などと責めるようなことを言ってくる保護者には、丁寧に謝った上で、その後、なるべく距離をおいた付き合いをするようにしましょう。
ただし、必要以上に低姿勢になったり、理不尽な要求を聞き入れる必要はありません。
著者紹介
水野 智美・・・筑波大学医学医療系 准教授 臨床心理士
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に
大越和美
子ども支援研究所 専任相談員
特別支援コーディネーターとして長年幼稚園に勤務。
現在は、数多くの保育園や幼稚園を
巡回し保育者や保護者の支援に取り組んでいる。
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3月第2回のコラム「友達の輪に入ることが苦手な子どもに親としてどうすればよいのか」を読む
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