9月のテーマ:「トイレについて」~おねしょについて~


第4回:おねしょについて

著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生

   子ども支援研究所 専任相談員 大越和美先生

おねしょの原因って?何歳までするもの?  

寝ている女の子おねしょがいつまでたっても治らない、と不安を抱える方は多いのではないでしょうか。おねしょは成長過程で起こる自然な現象です。

5歳の子どもの15%は週に3回以上おねしょをしています。

7歳を過ぎると95%の子どものおねしょは自然に治るという研究結果があります。成長のペースが少しゆっくりなんだと考え、焦らずにお子さんに接してください。

小学校低学年くらいまでは、よくあること、と見守っていて構いません。

トイレトレーニングが終わって昼間のおしっこは失敗しないのにおねしょをしてしまう、という悩みもよく聞きますが、昼のおしっこのしくみと夜間のおしっこのしくみは全く別物なので、昼間のトイレトレーニングとおねしょの話は別の話、と思ってください。

昼間と夜のおしっこのしくみを説明すると、昼間はおしっこを溜めておく膀胱がいっぱいになり、おしっこが出そうだと子どもが感じておしっこをします。

3歳を過ぎたころになると、おしっこが出そうだと感じても、トイレに行くまで我慢をして、トイレに行ってからおしっこを出すというコントロールができるようになってきます。

一方、夜は身体に水分を溜めておく役割をもつ抗利尿ホルモン(ADH)というホルモンによっておしっこがコントロールされています。

ADHは昼間には分泌量が少なく、夜には分泌量が増えます。しかし、幼児期の子どもの身体は成長途中であるためにADHの分泌量がまだ安定していません。そのため夜寝ている間おしっこを身体に溜めておくことができず、おねしょをしてしまうのです。

おねしょへの対策

おねしょでは、おねしょに対して大人は何ができるでしょうか。

大人ができる対策を3点挙げます。

最も大事なことは大人が怒ったり、焦ったりしないことです。

ADHの分泌にはストレスが関係します。おねしょを治さなくてはならないという大人の気持ちは子どもに伝わり、子どもにとってストレスになります。失敗しても決して責めずに何もなかったように接してください。

次に、寝る前に水分を控えることです。

飲んだ水分の多くは2~3時間で排出されるので、夕方ごろから水分を控えるようにします。ただし、夏場など汗をかいているときにおねしょが心配だからと水分を与えないのは問題です。むやみに与えるのではなく、1杯だけにしておこうね、と調節をしてください。

そして最後に、何度も夜中に起こさないことです。ADHは熟睡しているときに分泌されます。

子どもが尿意を感じて自然に目を覚ます場合はそのままにしておいてよいですが、途中で起こしてトイレに連れていくことは熟睡の妨げになるのでやめた方がよいでしょう。

また、生活リズムの乱れによって熟睡できないこともあります。おねしょを治すことばかりに注目するのではなく、生活全体の見直しが必要です。

 

著者紹介

西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。

大越和美
子ども支援研究所 専任相談員
特別支援コーディネーターとして長年幼稚園に勤務。
現在は、数多くの保育園や幼稚園を
巡回し保育者や保護者の支援に取り組んでいる。

 

過去のコラムはこちらから

9月第3回「トイレトレーニング こんな時どうする?」を読む

9月第2回「トイレトレーニングの進め方」を読む

9月第1回「トイレトレーニングの準備について」を読む

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