7月第3回:ゲームにまつわる悩み


お子さんへのゲームの与え方

筆者:筑波大学 准教授 水野智美先生

ゲームは必ずしも子どもの発達に害になるとは言えません。


080128 子どもがゲームをなかなかやめない、家の中でゲームばかりしていて、外で身体を動かして遊ばないなどの相談を保護者からよく受けます。このようなゲームのデメリットばかりが一般的に広まっているために、子どもにゲームを与え
ることを不安に感じている方は多いことでしょう。

 しかし、ゲームは必ずしも子どもの発達に害になるとは言えません。ある研究によると、
家庭でゲームをしない子どもよりも、1日1時間以内のゲームをする子どもの方が社交的であり、生活の満足度が高いという結果が出ています。実際に、ゲームを子どもに与えていない家庭の子どもは、友だちの家に遊びに行った時に、友だち同士で順番にやるはずだったルールを無視してゲームをやり続けてしまったり、みんながゲームをやめて外に遊びに行っていても、一人だけゲームをやり続けていたりする話をよく聞きます。

家庭の外での出来事なので、ゲームを与えていない親はその問題に気づきませんが、ゲームを全く与えないことは、友だち関係を悪化させていたり、適切な人間関係を作れないことにつながっています。

また、学校でゲームの話題が出る際に、全く会話に入れないというのは、子どもにとってつらい状況です。子どもがゲーム以外の得意なことを持ち、そのことを友だちに披露して、話題を変えればよいと言う人がいますが、現実的には、多くの子どもたちを魅了しているゲームから話題の方向を変えることは、むずかしいです。

お子さんにゲームをさせる時にはルールの徹底を! 


134050ただし、夢中になりすぎて、長時間、ゲームをすることはもちろんよくありません。

ゲーム以外のやるべきことをする時間が少なくなり、生活のバランスが悪くなります。ゲームを子どもに与える前にしっかりとゲームをしてもよい時間についてのルールを作っておくことが肝心です。

1日にゲームをしてよい時間は30分以内にするとか、宿題をしてからでないとゲームをしてはいけないとか、お手伝いをしたらゲームの時間を増やすなどです。最初に、このルールを徹底させることによって、子どもはルールを守りながら、ゲームを楽しむことができます。

加えて、子どもがルールを破った時のペナルティを必ず決めておいてください。ルールを破ったら1週間ゲームを禁止するなどです。子どもがルールを破った際に、このペナルティを必ず与えなければなりません。「今回だけは、許すけれど、次は絶対にダメよ」などと言って、その場を許してしまうと、ルールを守ることがいい加減になってしまい、ついには子どもはルールを守らなくなってしまいます。

 

筆者紹介

水野 智美・・・筑波大学医学医療系准教授 臨床心理士  
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に取り組んでいる。

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