12月のテーマ:感染症について~感染症を防ぐために(日常生活編)~
第3回:感染症を防ぐために(日常生活編)
著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生
感染症を予防するために大切な3つのこと
①感染源(=病原体)をなくすこと
②感染経路を遮断すること
③感染しても病原体に負けない身体をつくること
の3つが重要です。
感染源をなくすためには、感染源に接触する機会を減らすことが大切です。
例えば、インフルエンザが流行っている時期に人ごみを避けるといったことです。
次に、感染経路を遮断することとして一番効果的なのは、感染の経路となりやすい手をしっかり洗うことと病原菌の身体への侵入経路である口をしっかりゆすぐこと、つまり手洗い・うがいをすることです。
外から帰ったときや食事の前には手洗い・うがいをする習慣をつけることは、教えなければ身につかないものです。手洗い・うがいの仕方やタイミングを大人が教えるようにします。
手洗いは大人がそばについて見本を見せたり、実際に子どもの手を動かしたりと援助がしやすく、子どもにとって身につけやすい動作です。
一方でうがいは大人が手伝うことが難しいため、子どもにとってはやり方をつかみにくい難しい動作のひとつです。
うがいをするためには口に水を含み、それを飲みこまずに口の中にためておき、口の中で水を移動させて口をゆすいでから吐き出すといった複雑な動きがたくさんあります。
3歳ごろになると、口の中に水をためてぐちゅぐちゅと口をゆすぐことができるようになります。
口に入った水を飲みこまずに口にためておくことができるようになるのです。
上を向いてガラガラとうがいができるようになるのは4歳ごろです。
うがいの方法を教える時には、まず大人が見本をみせます。子どもの前でしゃがんで口のなかも見せてみましょう。
大人がうがいをしているところを見せたら、次は「鏡を見ながら自分でやってごらん」、と手鏡を持たせてうがいをさせてみます。
水を口に入れても飲みこまないか、ぐちゅぐちゅうがいができるか、というように動作を細かく区切ってそれぞれの動作ができているかを確かめていくとよいでしょう。
そして、感染しても病原体に負けない身体を作るためには、規則正しい生活をすることが一番です。
規則正しい生活とはしっかり栄養バランスの取れた食事をとり、日の光を浴びて身体を動かし、よく眠ることです。
感染症になったからといって薬を飲めばそれで解決するわけではありません。
病原体が身体に入ってきてもそれに負けない力、つまり抵抗力を高めることが感染症を防ぐために最も大切です。
著者紹介
西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。
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