5月第4回:病院嫌いのお子さんにやってはいけない5つのこと
病院を嫌がる子どもを病院に上手に連れて行く方法
筆者:浜松医科大学 医学部看護学科 助教 坪見利香先生
子どもにとって病院はとてもいやな場所です。
特に、幼児期の子どもを病院に連れていくのは苦労します。子どもは体調の不調があるときにはキゲンが悪くなります。また、体調がいい時に「痛い」予防接種を受けなくてはなりません。そのため、病院は、子どもにとって「いやだ」とか「こわい」場所になっています。
しかし、診察が終わればケロッとして泣き止んで子どもたちは帰っていきます。それは、「いやなこと」や「こわいこと」が終わったことがわかるからです。病院では、子どもにごく簡単な言葉でこれから行うこと説明をする医師がいますが、多くは保護者に対する説明です。子どもは説明されたことがわからないために、「こわい」とか「いやだ」という気持ちが強くなります。おうちの方が子どもにわかりやすい言葉で子どもが何を体験するのかを説明して子ども自身が「できた!がんばった!」ということを実感できるようにしてあげてください。
たとえば予防接種の場合、「病気になると遊べなくなるよね。病気にならないように明日注射をするよ。がんばろうね。」と前日に子どもに伝えるとよいです。子どもが理解(納得)できているかを確認しながら説明します。体温測定ができたらほめます。一つずつ説明してできるようになることは、大切なことです。当日は「お熱を測るよ」「熱がないから、注射できるよ。病院に行こうね」と予定していることを一つずつ伝えます。
病院に到着してからも、「お熱をもう一回はかるよ。」、「先生におなかをもしもししてもらうよ」、「先生がやりますよって言ったら腕にちっくんするよ」と流れを一つずつ説明します。診察が終わったらがんばりをほめてください。お母さんがギュッと抱きしめる、シールを渡す、ちょっとしたごほうびとして好きなおやつをあげるなどのことがよいでしょう。そうすれば、子どもは次の診察もがんばろうと思う気持ちがめばえてきます。
ただし、次のような説明は、子どもの「わかる」ことにつながらないばかりか、「いやだ」と「こわい」気持ちが強くなってしまって逆効果です。
×その1 子どもを病院に連れていくために「ウソ」をつく。
子どもは大人にダマされたと思ってしまいます。
×その2 「おもちゃを買ってあげる」などモノで子どもを釣る。
条件がないと子どもはチャレンジできなくなってしまいます。
×その3 何も言わずにだまって連れて行く。
子どもの知りたいという気持ちを無視することになります。
×その4 「お母さんの言うことを聞かないとお医者さんに注射してもらうからね」とおどす。
注射は、悪いことをしたバツではありません。
×その5 診察の時に「ごめんね」とあやまる。
子どもにとって必要なことをしているので好ましくありません。
病院を嫌がる子どもを上手に病院に連れていくには、子どもが経験することをていねいに説明し、子どもが「できる!」「わかった!」と実感できるように進めることが大切です。
筆者紹介
坪見 利香:浜松医科大学医学部看護学科 助教 看護師
小児看護学を担当。専門は障害のある子どもの看護、子どもの外来看護
小児科を中心に様々な外来での勤務経験あり。
5月のコラムもここから読むことができます!
5月第3回:親子にとって大切な「病院選び」のコツ
5月第2回:小児科以外の病院お子さんを連れて行く
5月第1回:お子さんを病院に連れて行く前のチェックリスト