6月第1回:子どもと祖父母が上手にコミュニケーションを取るためのポイント


祖父母のことを子どもにどう伝えるか

 筆者:富山大学 人間発達学部 准教授 西館有沙先生

幼児期の子どもが最も安心できるのは、親のそばです。

090610「友だちとけんかした」「園で転んで痛かった」という話を親に聞いてもらうだけで、子どもの気持ちは落ち着きます。ただ、子どもの味方でいてくれる人は、親以外にも必要です。祖父母は、自ら進んで子どもの力になろうとしてくれます。子どもと祖父母の関係がしっかりとできていると、子どもにとって祖父母は心のよりどころになります。大きくなって親とけんかした時や、落ちこんでいる時に、電話口から聞こえてくる祖父母の声にホッとできるのです。

特に子どもが幼いうちは、祖父母のことを「大好き」と思えるように、親が導いていくことが大切です。親が子どもに、祖父母のことをどのように伝えるかによって、子どもが祖父母をどのように見るかが決まります。子どもには「おじいちゃんとおばあちゃんは、あなたのことが大好き」「いつもあなたを応援している」「何かあったら助けてくれる」ということを伝えましょう。

親が子どもの前で「おばあちゃんはママの料理が嫌いみたい」「おじいちゃんはすぐ怒るから困る」とグチをこぼしていると、子どもにとって祖父母は「悪い人」になります。子どもの前で、祖父母のグチを言うことは控えてください。また、子どもに「おばあちゃんがママのことを悪く言ってなかった?」「おじいちゃんは文句を言ってなかった?」と聞くのも良くありません。子どもが「おばあちゃん、おじいちゃんはママとパパが嫌いなのかな」と不安になってしまいます。

「子どもと祖父母の時間」をつくることが大切!

089975祖父母は親がほめないようなことを取りあげて、子どもをほめてくれます。親とは違った視点から子どもを評価してくれるのです。時には、親が知らない生活の知恵を、子どもに与えてくれます。さまざまなものさしや知識をもった人との交流は、子どもの視野を広くします。

「子どもと祖父母の時間」には、親がそばにいても、口をはさまないでおきます。親子の時間になってから、おじいちゃんと遊んだことや、おばあちゃんにほめてもらったことを話題にして、「おじいちゃんのやり方はおもしろいね」「おばあちゃんはあなたのそういうところが大好きなのね」とうなずいてやります。こうすることで、子どもは祖父母のことが大好きになります。また、「いろんな人がいる」「いろんなやり方がある」と考えられるようになります。

 

筆者紹介

西館 有沙/にしだて・ありさ 富山大学人間発達科学部 准教授 社会福祉士・保育士。

専門は児童福祉学、子育て支援。

大学では保育者養成を担当し、また、地域の保育者を対象として相談支援を行ったり、勉強会を開催したりしている。

 

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