3月のテーマ:幼稚園、保育園について~友達の輪に入ることが苦手な子どもに親としてどうすればよいのか~


友だちの輪に入ることが苦手な子どもに親としてどうすればいいの?

著者:筑波大学 准教授 水野智美先生

子ども支援研究所 専任相談員 大越和美先生

友だちの輪に入ることが苦手なお子さんについて

085195わが子が友だちの輪に入っておらず、一人で遊んでいる姿を見ると、この先、友だちができないのではないか、いじめられるのではないか、などと親として不安に感じる人が多いことでしょう。

しかし、大勢の友だちと遊ぶのではなく、じっくりと自分の好きな遊びを好むという子どもがいます。

そのような子どもに、みんなと一緒に遊ぶように強制することは、子どもにとって負担になります。

友だちと一緒に活動すべき時に協力し合ってできる子どもであれば、自由遊びの際に一人でいても、特に心配することはありません。

お子さんが幼稚園や保育所に通っていれば、ぜひ担任の先生に、普段の様子を聞き、友だちと協力するところはできているのかどうかを尋ねてください。

また、お子さんが幼稚園や保育所から帰宅した際に、「今日は誰と遊んだの?」「どうして、みんなと一緒に遊ばないの?」などと詮索したり、友だちと一緒に遊ばないことをなじったりしないでください。

「大勢の友だちと仲良く遊ぶことがいいことである」という価値観をお持ちの保護者の方がいらっしゃいますが、人と一緒にいることがそれほど好きではない子どもにその価値観を押し付けてはいけません。

大勢の友だちと遊ぶことを強く求められた子どもの中には、友だちの輪に入ることを負担に感じてしまうことが多くあります。

また、友だちの輪に入らなかった場合に、罪悪感を持ち、友だちと遊べない自分はダメな子だと感じてしまったりすることがあります。

さらに、「一人で遊んでいた」と答えると、親から叱られると思う子どもは、「〇〇ちゃんと遊んだ」などとその場しのぎのうそを言ってごまかしてしまうことがあります。

これまでの私たちの経験から、みんなでやる活動の際には他の友だちと協力できるけれども、自由遊びの際には一人で集中して何かに取り組んで遊んでいる子どもの中には、物事をじっくり考え、一つのことを深く掘り下げて考えられるようになる子どもが多くいました。

そのため、休みの日に子どもの友だちを何人も家に呼んで大勢で遊べる環境を作ろうとか、子どもを無理に友だちの輪に入れようなどとしないで、親はどっしりと構えてみていてください。

それでも心配であれば、通っている幼稚園や保育所の担任に日常の様子をよく聞いてみてください。

なお、3歳以下の子どもの場合には、多くの場合、一人ひとりがそれぞれの遊びをしています。

みんなの輪の中にいるように見えても、その中で特に関わり合いをもっているわけではありません。

その際にも、「我が子だけ、輪に入っていないけれど、どうしよう」などと心配する必要はありません。

 

著者紹介

水野智美先生

筑波大学医学医療系准教授。臨床心理士。専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に取り組んでいる。

大越和美先生

子ども支援研究所専任相談員。特別支援コーディネーターとして長年幼稚園に勤務。現在は、数多くの保育園や幼稚園を巡回し保育者や保護者の支援に取り組んでいる。

 

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