12月のテーマ:感染症について~特に注意が必要な感染症~
第2回:特に注意が必要な感染症
著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生
今回は子どもに起こりやすい感染症のなかでも、特に周囲の家族も注意が必要な感染症である、風疹、水ぼうそう、おたふくかぜについて説明します。
風疹については多くの子どもが予防接種をしていますが、それでも感染することがあります。
また、保護者のなかには風疹の予防接種をしていない年代の人がいます。
法令で予防接種をしなくてよい、とされていた期間があったため、予防接種をしていない人が多いのです。
そのため子どもだけでなく、大人にも感染しやすくなります。
大人が麻疹、風疹に罹ってしまうと重症化するほか、特に妊娠中に風疹に罹ってしまうと、お腹の赤ちゃんに障害が生じる先天性風疹症候群になる確率が高まります。
また、男性の場合には風疹にかかると不妊の原因となることがあるので、妊娠を望んでいる家庭では、子どもを通わせている保育所、幼稚園や小学校などで流行していないか、気にかけておく必要があります。
水ぼうそうは水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで起こります。
感染力が強く、保育所や幼稚園で感染が拡がりやすい疾患です。
また、帯状疱疹と原因が同じなので、大人で帯状疱疹になったことのある人が水ぼうそうの子どもに接触すると、帯状疱疹が再発することがあります。
おたふくかぜは、ムンプスウイルスが原因となって起こります。
耳下腺の腫れ、熱、頭痛など風邪のような症状が特徴で、おたふくかぜと気づかずに登園や出勤をしてしまい、周囲に感染を拡げてしまうことがあります。
子どもの場合にはあまり見られないのですが、成人男性には睾丸炎、成人女性には卵巣炎が発症することがあります。
睾丸炎、卵巣炎ともに片側のみに炎症がおこることがほとんどであり、生殖能力がなくなるわけではありません。
上記の感染症は子どもが感染した場合は軽症ですむことが多いのですが、大人がかかった場合には、子どもよりも重症化しやすく、仕事に影響が出ることも少なくありません。
また、妊娠を望む人にとっては予防が必要になります。
保護者の方で子どものころに感染していないことが分かっている場合には予防接種をする、周囲での感染症の流行状況を把握しておくなど、子どもだけでなく大人も対策をしておくことが必要です。
著者紹介
西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。
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