6月第4回:祖父母の申し出を断りたい時
祖父母の申し出を断りたい時
筆者:富山大学 人間発達学部 准教授 西館有沙先生
祖父母の「行為」と「好意」
「家の中が祖父母からのプレゼントで埋め尽くされている」など、その行為が度を越しているような場合には、親が断らざるを得ないことがあります。このときに大切なことは、祖父母の『行為』は断るにしても、祖父母の『好意』は必ず受け取るということです。
親は、祖父母の行為を断る前に、「いつも子どものことを気にかけてくれることがありがたい」「子どものためにいろいろと考えてくれて嬉しい」といったように、感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。また、祖父母の行為を「結構です」「~しないでください」と断ると、祖父母が「迷惑である」と言われたと感じてしまいます。そこで、親が子どもに学ばせたいと思っていることを伝えて、「少しの間、控えてほしい」と提案してみてください。たとえば、「子どもにはプレゼントされた物を大切にする気持ちをもってほしい。この間もらったおもちゃを子どもはとても気に入っている。しばらくは、このおもちゃを大事に使うことを学ばせたいので、プレゼントを控えてほしい」と伝えるのです。このようなやりとりをすることで、祖父母は、自分たちの好意を一方的に拒否されたと感じずにすみます。また、親が子どもに学ばせたいと考えていることを知ることができるので、親の思いに合わせて動きやすくなります。
両親が子どもに伝えるべき祖父母の役割
子どもには、祖父母は「欲しい物を買ってくれる」人ではなく、「自分を大切にしてくれる」人だということをわかってほしいものです。また、祖父母の気持ちを嬉しいと思えるように育ってほしいです。そのためには親が、「おじいちゃんは大好きなあなたが喜ぶと思ってプレゼントしてくれた」「おばあちゃんはあなたの悲しい顔を見たくなくて『買ってあげよう』と言ってくれた」と、祖父母の気持ちを言葉にして、子どもに伝えていきましょう。
筆者紹介
西館 有沙/にしだて・ありさ 富山大学 人間発達科学部 准教授 社会福祉士・保育士。
専門は児童福祉学、子育て支援。
大学では保育者養成を担当し、また、地域の保育者を対象として相談支援を行ったり、勉強会を開催したりしている。
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