11月のテーマ:育児のイライラ対処法~子どもにイライラしてしまう時どうすればいいの?~
第1回:子どもにイライラしてしまうときにどうすればいいの?
著者:筑波大学 准教授 水野智美先生
子育てをしている最中は,子どもがいなかった頃に当たり前にできたことができなかったり,驚くほどの時間がかかったりするものです。
例えば,食事をゆっくりとれなかったり,夜もゆっくり寝られなかったり,買い物も思い通りにできなかったりします。このように,自分のやり方を自分のテンポで進めていくことができないために,イライラしてしまうのです。
体力的に,そして精神的に疲れて,余裕がない時には,さらにイライラが募ります。
このような時には,その状態から少し距離を置くことが必要です。
例えば,子どもが駄々をこねて泣いているときには,子どもの姿が見えないところに行って,ひと呼吸をします。
言うことを聞かない子どもをずっと見ていると,「どうして私の言うことを聞かないのかしら」「この前も同じことで叱ったばかりなのに」などと,怒りがわき,自分の中でその感情をコントロールできなくなります。
子どもがお母さんに反抗的な態度をとったならば,さらにお母さんの感情は爆発します。
そのようなときには,子どもに冷静に対応できませんし,お母さんの感情で子どもを叱ってしまうことになります。
そうなると,より子どもはお母さんの言うことを聞かなくなり,お母さんはさらにイライラすることになってしまいます。
また,完璧主義の母親ほど,育児にイライラを感じてしまいがちです。
このような場合には,子どもを叱るべきポイントを絞り,それ以外のことであれば,「まぁ,いいか」と考えるようにしてください。
ここは,叱るところ,ここは大目にみるところなどとメリハリをつけて子育てをすれば,子どもも何については守らなくてはならないのかがわかるようになります。
お母さんも,「まぁ,いいか」と気持ちをおさめられたら,カレンダーなどに印をつけます。
その印がたまったら,自分の好きなことをしてください(ケーキを食べるなど)。自分の気持ちをがんばっておさめたお母さんへのご褒美です。
それでもなお,イライラして,自分でどうしたらよいのかがわからない程になった場合には,心理カウンセラーや保健師などの専門家に相談してみてください。
地域の保健センターや子育て支援センター,市役所の相談室などにこれらの専門家が配属されていたり,日時を決めて相談会が開催されていることがあります。
愚痴を言うだけでも,かなりすっきりします。
著者紹介
水野 智美・・・筑波大学医学医療系 准教授 臨床心理士
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に
過去のコラムはこちらから
10月のコラム「乳幼児期の親子の食事について」を読む
9月のコラム「トイレについて」を読む
8月のコラム「子どもの睡眠について」を読む
7月のコラム「テレビ・ビデオの見せ方」を読む
6月のコラム「祖父母との上手な関わり方」を読む
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