10月のテーマ:乳幼児期の親子の食事について~好き嫌いを無くすために大切なこと~
第4回:好き嫌いを無くすためにたいせつなこと
著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生
生まれたばかりの赤ちゃんは、甘味、塩味、旨味を好みます。
反対に苦手なのは、苦味や酸味、辛味です。
腐ったものや毒のあるものが体内に入らないようにするために本能的に苦味や酸味のあるものを避けているのです。
ピーマンや酢の物など苦味や酸味のある食べ物が苦手な子どもが多いのはこの影響です。
しかし、苦味、酸味、辛味が苦手な状態がずっと続くのかというとそうではありません。
成長に伴って子どもの味覚は発達していき、苦味や酸味、辛味などもおいしいと感じるようになっていきます。
それに加えてさまざまな食べ物を食べて、「苦味(酸味、辛味)があるけれど、食べても大丈夫だ」という経験を重ねることによって、食べられる食材が増えていきます。
子どもの好き嫌いをなくすために
保護者の方に意識してほしいのは、苦手なものを食べる機会をなくしてしまわないことです。
保護者の方が「うちの子はピーマンが苦手だから、無理に食べさせなくて良い」と考えて、家庭ではピーマンを出さない、という家庭があります。
しかし、この状態が長く続くと、いつまでたっても食べられるようにはなりません。
子どもが食べないとわかっているのに食卓に出すことは、食事を作る方にとっては負担かもしれません。
しかし、嫌いな食べ物を克服するためには「苦い(すっぱい、辛い)けれど、食べられた」という経験を積み重ね、自信をつける機会が必要です。
そのためには、幼児期からではなく離乳食の時期から、さまざまな種類や味の食材を食べる機会を作っておくことが大切です。
もう一つ、大切なこととして一緒に食べる家族がおいしそうに食べていることが大切です。
子どもは大人のことをよく見ています。
初めて見た食べ物を食べるまでには、何だろう、とその食べ物に興味を持つこと、それを食べてみたいという気持ちを持つことが不可欠です。
大好きなお父さん、お母さんがおいしそうに食べているものであれば、「何だろう?」「食べてみようかな」と食べるための第一歩を踏み出しやすくなります。
著者紹介
西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。
過去のコラムはこちらから
10月第3回「離乳食の与え方」を読む
10月第2回「哺乳瓶を嫌がるときの対処法」を読む
10月第1回「授乳中の母親の食事制限について」を読む
9月のコラム「トイレについて」を読む
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