4月第3回:子どもの言い訳に疲れた…
子どもが言い訳をするのって親のせい!?
筆者:筑波大学 准教授 水野智美先生
お子さんの手本として最もよくないのは「言い訳」です
普段,子どもに「こうしなさい」「それをしてはいけません」と言いながら,自分はそうしていないことがあることでしょう。
たとえば,子どもに「使い終わったら片付けなさい」と言っているのに,自分は使い終わったまま出しっぱなしにしていた,子どもに「赤信号で道路を渡ってはいけない」と言っておきながら,自分は車が来ていなければ赤信号を横断してしまったというエピソードを親御さんからよく聞きます。
子どもに注意しておきながら親がそのルールを守っていなければ,子どもが親のいいつけを守らなくなるのは当然です。
日ごろから,子どもにまねをされたくない行動を親がしないように気をつけることは大切ですが,うっかりしてしまうことはあります。
そのような時に,子どもから指摘されて,「大人は状況判断ができるからいいの」などと言い訳をしてしまうことが最も子どもの手本になりません。親が言い訳をしていると,子どもは「理由があればきまりは守らなくてもいい」ということを学習してしまいます。
普段から,子どもに「言い訳をしてはいけません」と教えていると思いますが,そのことにも矛盾してしまいます。「きまりは守ろうとすることが大切」ということを教えることもできません。子どもに指摘されたら,言い訳をするのではなく(開き直るのはもってのほかですが),素直に謝り,次からは手本となるように努力していかなければなりません。
お子さんに見せたい親の姿
子どもの手本になるように気をつけることは必要ですが,人間は完璧ではありません。
親は常に模範的な行動や態度を子どもに示しておくことはできません。また,親が常に模範的な行動や態度だけを見せていたら,子どもは息がつまります。
失敗することはよくないと感じ,いつも「失敗しないように」と緊張していなければなりません。失敗を恐れて積極的に行動することもできません。完璧な姿の親を見せることが子どもの手本になるわけではないのです。
よくない行動や失敗をしてしまったら反省し,次に同じことを繰り返さないように努力する姿を子どもに伝えること,これこそが親が子どもにみせるべき手本です。失敗したことを子どもに指摘されたら,言い訳をしたり,権力や腕力でねじ伏せたりしないでください。
水野 智美・・・筑波大学医学医療系 准教授 臨床心理士
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に