6月第3回:祖父母を頼りたい時のコツ
祖父母の上手な頼り方
筆者:富山大学 人間発達学部 准教授 西館有沙先生
祖父母を頼りたい時に、親がどのような配慮や工夫をすればよいか
「祖父母から『何かあったら頼ってね』と言われていたので、子どもを預かってほしいとお願いしたけれど、返事を渋られてしまった。祖父母の言葉は単なる社交辞令だったのかもしれない」といった体験をすると、祖父母の本音がわからなくなります。相手が自分の義理の関係であれば、率直に本音を聞くこともできません。そのため、次から頼みごとをしにくくなってしまいます。ここでは、主に義理の関係にある祖父母を頼りたい時に、親がどのような配慮や工夫をすればよいかを考えてみましょう。
祖父母はたとえ義理の関係であったとしても、親から頼られると悪い気はしません。しかし、祖父母にもプライベートの時間を大切にしたい気持ちはあります。また、親の考えにそぐわないことをして、親に不快な思いをさせるのではないかという不安があります。子どもに何かあったら責任をとれるのかという心配もあります。そのため、負担を強く感じるような頼みごとに対しては、快い返事をしにくいものです。
祖父母に頼みごとをする時には、相談するという形で、話を切り出してみましょう。
その際には祖父母の都合を尋ね、何をどこまでお願いできるかを確認してください。なお、実の親子関係にある祖父母に対しては、頼みごとを断られた時に、グチや文句が口をついて出てしまうかもしれません。しかし、たとえ身内であっても、グチや文句を言うのはマナー違反です。
祖父母が頼みを引き受けてくれた際に、細かい注文をつけるのは良くありません。ただ、子どもを預ってもらう場合には、子どもの普段の生活の様子や好きなこと、親の子どもへのかかわり方などを伝えておくと良いでしょう。祖父母は孫にやってあげることについて具体的なイメージを持てると、気持ちの上で負担を感じないですみます。
そして、祖父母に手伝ってもらった時には、必ず感謝の気持ちを伝えましょう。「助かった」「ありがとう」の言葉を受けることで、祖父母は「自分たちも役に立った」と安心することができます。また、「いつでも頼ってきてね」という前向きな気持ちになってもらえます。
筆者紹介
西館 有沙/にしだて・ありさ 富山大学人間発達科学部 准教授 社会福祉士・保育士。
専門は児童福祉学、子育て支援。
大学では保育者養成を担当し、また、地域の保育者を対象として相談支援を行ったり、勉強会を開催したりしている。
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