子どもに命の大切さを伝えるには?
今こそ伝えたい命の大切さ
青少年による悲しい事件が後を絶たない昨今、「わが子に命の大切さを教えたい」と考えている方が多いようです。
ただ、私が乳幼児の保護者を対象に行った調査では、子どもに「死」について話す場面として、「子どもが危険なことをしたとき」を挙げた方が過半数を占めました。
つまり、そんな危ないことをしたら死んでしまって、パパやママに会えなくなるよ」といったように、おどしとして使っている方が多いようなのですが…
実はこれは、あまり感心できるやり方ではありません。
というのも、おどしや罰として「死」を登場させることは、死に対してネガティブな感情を持たせてしまうのです。
つまり、「死」を、ただ恐れさせるだけになってしまいます。
身近な人の「死」は命を伝える貴重な機会
では、どうするか。
子どもに「命」を理解させるには、「生」と「死」の対比が不可欠です。
とはいえ核家族化が進む現代では、かつてのように“同居していたおじいちゃんやおばあちゃんが亡くなって家族みんなが悲しむ”といった経験をする子はあまりいません。
そのため、多くの子どもにとっては、死はテレビやゲームの世界のことであり、飼っている昆虫や小動物のことが中心です。
しかし、家族の一員のように暮らしてきたペットは別にして、昆虫や小動物の死によって命の大切さを理解するのは難しいです。
子どもが命の大切さを感じる場といえるのが、葬儀や墓参りです。
とくに葬儀では、多くの人が死を悲しみ、故人に感謝する姿を目にし、幼い子どもたちなりに感じるものがあります。
ですから、機会があれば、「まだ小さいから」と遠ざけず、葬儀に参列する経験をさせてあげてください。
絵本の中にも命がいっぱい
また、命や死を題材にした絵本を通じて、人の誕生や死にまつわる場面を経験するのも一つです。
絵本の場合は、「死」をありのままに伝えながらも、故人と過ごした時間や思い出が心の中で生き続けていることなども描かれているものが多くありますので、不必要に死を恐れさせず、命の大切さを実感させられると思います。
今回のポイント
・葬儀や墓参りは命の大切さを学ぶ貴重な機会
・おどしとして「死」を使わない
・絵本も命を学べるものの一つ