気になる子の保育
Point2. 言葉で伝わりにくいときは、「視覚的な支援」を活用しよう!

「気になる子」って?

「気になる子」とは、発達に偏りがあり、保育園の生活の中で特性に応じた支援が必要な子どものことです。発達に偏りがあったとしても、周囲が適切な支援を行うことで、「気になる子」たちは生きる力を十分に伸ばしていくことができます。

前回の記事「【気になる子の保育】Point1. 話を聞くのが苦手な子への指示は「はっきり」「短く」「具体的に」!」

絵カード、ジェスチャー…「視覚的な支援」を活用すればより伝わりやすくなる

気になる子どもの中には、言葉で伝えられるだけでは伝わりにくくても、絵や写真を目で見ると一気に理解が進む子たちがたくさんいます(これを専門用語では「視覚優位」といいます)。そのような子どもたちに効果的なのが、「視覚的な支援」を用いた伝え方です。例えば、園での生活にまつわる様々なものがイラストになった「絵カード」や、指示に直接かかわるものの実物、ジェスチャーなどを用いて見せながら行うコミュニケーションが「視覚的な支援」を活用した伝え方にあたります。

視覚的な支援」は、衝動性が強く、やってはいけないとわかっていてもついやってしまう子どもに対しても有効です。例えば興奮してうっかりルールを忘れてしまう子どもに対しては、ルールがイラストで描かれた絵を壁に貼っておきます。子どもはその絵を時々見てルールを思い出し、自分で行動を押さえることができるようになります。

しかし、言葉による指示では伝わりにくい子どもが相手であっても、絵カードだけ示して言葉では一切伝えないなど、「視覚的な支援」だけを用いるようなやり方はよくありません。最初は視覚的な支援がないと理解ができなかった子どもでも、視覚的な支援と言葉を同時に伝えられることによって言葉と視覚的な情報が組み合わさっていくことで、だんだんと伝わるように成長していくのです。

伝わりにくいときは、言葉とともに「視覚的な支援」をどんどん活用してみてください。

次の記事「【気になる子の保育】Point3. ルールを決めて守れたら、即「ほめる」!」

記事の監修

 

徳田克己先生プロフィール

 

 

徳田克己先生

子ども支援研究所所長。教育博士、臨床心理士、専門は子ども支援。全国の幼稚園、保育所などを巡回して、保育者や保護者を対象とした気になる子どもの相談活動を行っている。「気になる子どもの保育ガイドブック」「育児の教科書クレヨンしんちゃん」(福村出版)、「親を惑わす専門家の言葉」(中央公論新社)など、著書多数。