考える前に行動してしまう子どもを支援するコツ

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友達と遊んでいるときや、授業中に先生が話をしている時でも、外から鳥の声が聞こえたり蝶が飛んでいるのを目にしたりすると、いきなり飛び出してしまうような子どもがいます。

頭で考える前に衝動的に行動してしまうのは、ADHDの傾向がある子どもによく見られる特徴です。

興味のあるものが目に入ったり、聞こえたりすると、「いまは〇〇しなければいけないときだから、動いちゃだめだ」と考える前に、身体が動いてしまうのです。

障害のない子どもであれば「いまは何をしなければいけないときなのか」を考えたり、「興味はあるけど、いま外に出たら先生やお母さんに怒られる」などと考えたりして、「やってはいけないこと」と判断することができます。

しかし、衝動性の強い子どもの多くは、とっさに状況を判断する力が弱いために、自分の行動を抑えることができません

子どもの衝動性を抑えるには「事前にルールを決めて、守れたらほめる」

このような子どもをむやみに叱りつけても、ほとんど効果はありません。むしろ叱り続けることで、二次障害の危険性が増すだけです。

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大事なことは、「事前にルールを決めて、守れたらほめる」を徹底することです。

まずは、子どもが行動する前に、子ども自身に「やってはいけないこと/やらなくてはいけないこと」を確認させます。

たとえば駐車場で車を停めて降りるときに、いつも周囲を見ずにいきなり走りだしてしまう子どもの場合、「車から降りたら、パパかママと手をつないで歩く」とルールを決めて約束しておきます。

そして、車のドアを開けて降りる直前になったら「車を降りたら、どうするんだっけ?」と子どもにたずねます。自分からこれからするべきことを答えさせて、事前に決めたルールを思い出させるのです。

子どもが実際にドアから飛び出さずに、パパやママと手をつないだら、「ちゃんとお約束を覚えていたし、パパママと決めたことを守れたね!」などとほめます。さらに外に出て数秒でも走り出さずにいられたら、またほめます。

ほめていきつつ、徐々にルールを守る時間を延ばしていきます。

子どもの衝動的な行動を未然に防ぐ工夫

子どもの衝動的な行動を抑えるためには、衝動的な行動を起こす「きっかけ」が発生しにくい、子どもの気が逸れにくい環境を整えることも有効です。

衝動的な行動は、その子が何かを見たり、聞いたりすることがきっかけになって起こることが多くあります。

子どもの周囲に気が逸れるようなものを置かない、窓の外を見えないようにするなどということが、気が逸れにくい環境を整えることにつながります。

子どもの衝動性は、家庭では見えにくいことも

自宅にいるときは衝動的な行動が見られなくとも、幼稚園や保育園でそのような行動にを起こす子どももいます。

家庭内とは異なり、たくさんのほかの子どもたちと過ごす園では、順番を待ったり、集団で行動したりしなくてはなりません。そのため、家庭では気づかなかった衝動性が目立つのです。

先生から指摘されたら、「そんなはずはない」「うちではいい子です」と頭ごなしに否定するのではなく、まずは話を聞いてください。どの姿も、自分の子どもの一側面であると、とらえることが大切です。

⇒次を読む 複数のことを同時に行うことが苦手な子どもを支援するコツ