病院にかかる前の準備と診察の流れ
医療機関受診の手続きと準備
診察までの申し込み
発達障害を専門に診療できる医療機関は全国的にも数が少ないのです。それゆえ、初診の申し込みから診察まで長くて数か月かかることがあります。かかりつけ医の紹介状があれば早く診察を受けることができる医療機関もあります。
予約方法は電話による受付がほとんどです。予約の電話をするときは、家族や子どもの予定を前もって把握しておいて、受診日と予定が重ならないようにしてください。
診察日までに準備すること
子どもの状態を適正に、スムーズにみてもらうために必要なものを挙げておきます。
1:健康保険証
小児医療費受給者証、その他医療助成。受診したことがある場合は診察券
2:母子手帳
妊娠中の経過や、子どもの発達に関する経過(歩き始め、ことばの発達、乳幼児健診の結果)がわかります。
3:幼稚園・保育園での様子
保育者に、集団時での様子や、行動面での具体的なエピソードを書いてもらうよう依頼してください。
4:紹介状
かかりつけの医師に書いてもらってください。紹介状がなくても受診できる医療機関もあります。
5:質問票
診察を申し込んだ後に、医療機関から質問票が送付され、診察日に記入したものを持参する医療機関があります。
6:受診する医療機関の情報
はじめて受診する場合は、所在地、交通手段をよく確認してください。子どもが長時間待つのが苦手な場合は、どこで過ごしたらいいか、事前に聞いておきます。あるお母さんは、ADHD衝動型の傾向のある子どもを病院に連れて行く際には、キャリーケースいっぱいの玩具を持って行くということです。そうしないと、病院の待合室や診察室を走り回り、たいへんな騒ぎになってしまうからです。
医療機関の診察の流れ
受診には時間がかかるものです。当日はほかの予定を入れないようにしてください。
診察では子どもの行動も観察します。子どもの体調が悪いと、普段の行動や様子が伝わりにくくなります。予約日に子どもの体調が悪い場合は、早めに窓口に連絡して相談してください。
診察について
医師は、子どものことばの発達、行動の特徴、人とのかかわり方、コミュニケーションの方法などを時間をかけて観察します。身体的な特徴や運動機能も調べます。
このとき、子どもははじめての場所で、普段どおりの受け答えができない場合があります。その際には無理に言わせたりしないでください。
一度や二度の診察では、はっきりとした診断がつけられないことがあります。その場合は、もやもやとした気持ちになるかもしれません。しかし診断は告げられなくても、医師から受けた説明・アドバイスなどは保育者に報告してください。
子どものそのときの状態を、保護者と保育者で共有して知っておくことは、子どもの最大限の発達のために必要なのです。
薬について
薬によって発達障害が根本的に治ることはありません。しかし周囲の適切な対応と投薬によって、衝動性などの障害の特性を弱めることはできます。
医師が薬による治療を選択した場合は、効果や副作用について、心配なことがあれば質問してください。服薬するようになったら、薬の量と用法はかならず医師の指示に従ってください。