ADHDの特徴「集中力が続かない」お子さんをサポートするコツ
何かをやっていても、途中で集中力が途切れてしまうのは、ADHDなどの発達障害のある子どもの特性のひとつです。
集中力が途切れてしまう原因は、①その子にADHDの傾向がある場合と、②今行っている活動の意味が理解できずにいる場合とがあります。
①ADHDの傾向があるお子さんの場合
ADHDの傾向のうち、1つのことに長く注意を向けることが苦手なタイプのことを、ADHDの不注意型といいます。この傾向のある子どもは、集中力を持続させること、今行っていることから別のことに注意を向け直すことが苦手です。
たとえばご飯を食べているとき、着替えをしているときなど、その行動をとっているまさにその瞬間にも、集中力が途切れてしまいます。そうすると、その子どもは「今は何をしていたんだっけ?」「次は何をするんだろう?」と戸惑い、行動が止まってしまうのです。
②今行っている活動の意味が理解できずにいるお子さんの場合
活動そのものの意味や意義が理解できずにいる子どもの場合は、今行っていることの楽しさ、やり方がわからりません。その活動を行う理由や、その面白さが理解できないため、飽きてしまうのです。
たとえば遊び方が理解できない子どもは、おもちゃで遊んでいても、すぐにそのおもちゃを手放してしまいます。おもちゃをどのように扱えばよいのか、何が楽しいのかわからないため、集中力が続かないのです。
この場合は、その子に遊び方やルールを教えて活動への参加を促し、その遊びの楽しさを教えてあげるとよいでしょう。
ADHDのお子さんへの具体的な対処法
ADHD不注意型の子どもに集中力を取り戻させるために有効な導き方は、「声掛け」「手順を視覚化する」「活動の区切りを短くする」などの方法があります。
「声掛け」は次にとるべき行動を思い出すきっかけになる
ADHD不注意型の子どもには、行動の最中に
「今はごはんを食べる時間だよ」
「今は何をしている時間だっけ?」
「着がえの途中だよ」
などのように声をかけます。声をかけることで、他のことに逸れていた注意が戻ります。このとき、ただ「集中しなさい」と注意するのはNGです。ADHDの子どもにとって、注意が逸れやすいのはもって生まれた特性であり、「集中しなさい」というあいまいな指示をしても効果はありません。
集中力が途切れてしまったら、「今は何をしているのか」「次は何をすればよいのか」を子どもが思い出せるようにしてあげましょう。
「手順を視覚化する」と、行動がスムーズにとれるようになる
また、活動の流れをイラストにしたものを見せるのも、効果的です。
たとえば着がえをさせたい場合、「パジャマを脱ぐ」→「たたむ」→「シャツを着る」→「ボタンをとめる」などのように、着替えの流れを細分化し、順序立てて示してあげてください。
子どもは「次は何をすればいいんだっけ?」とつまずくなるたびにイラストを確認すればよいので、続いてとるべき行動を思い出しやすくなります。
「活動の区切りを短くする」ときは、短時間の集中→できたらほめるの繰り返し
集中できる時間がほかの子どもより短い場合は、1つの活動の時間を短くするようにしてみてください。「3分間やる」「3回練習する」などのように、短時間で終わることができると子どもが感じられるルールを決めて、それができたらほめて休憩します。休憩が終わったらまた短時間の活動をする……これを繰り返します。この繰り返しから、子どもは短時間でも集中する訓練を積むことができます。