二次障害は「親が作る障害」?発達障害の子どもに起こりがちな二次障害を防ぐために保護者ができること
子どもが二次障害を起こさないために
発達障害の子どもや、その傾向がある子どもは、環境の変化に不安を感じたり、2つのことを同時にできなかったりという特徴があります。
日常生活の中で、そのような子どもたちは「僕はできない」「私にはわからない」という「困り感」を抱えてしまいがちなのです。
そして親から「どうして何度も言っているのにわからないの!」と叱られ続けてしまうと、「どうせ、私はできない」と無力感を感じてしまうようになります。
これが、二次障害です。二次障害は親をはじめ、周囲の大人がつくる障害です。
例:ひとつのことに集中するのが苦手な小学校3年生のA君
じっと何かひとつのことをするのが苦手なA君は、机に向かうということができませんでした。
母親は常にそのことを叱り続け、学校でも先生からそのことを指摘されてきました。
しだいにA君は机に向かうことを嫌がるようになり、「どうせできないから」と、運動やそのほかの活動においても消極的になっていきました。「すべてにおいて自信が持てない」と今は感じています。
二次障害を防ぐために保護者ができること 自己肯定感の大切さ
子どもがなにかをできずに困っているときには、できないことを強く責めたり、叱ったりしないでください。子どもがこうした「困り感」を抱えているときこそ、「どうせ自分にはできない」と諦めずに挑戦できるように、親子で協力するときです。
まずは、子どもの特性に合わせ、苦手なことを克服できるように一緒に“作戦”を立てましょう。
たとえば、覚えることが苦手な子どもには、覚えておくべきことを絵に描いて、貼っておく作戦が効果的です。
わからなくなれば、それを見に行けばよいことを子どもに伝えてください。そうすることで子どもの「困り感」がなくなります。
このように、初めはうまくできなかったことを工夫することによって克服していくうちに、「自分はできない」と思い込むのではなく、「自分は~すればできる」と自信が持てるようになります。「あなたはこうすればできるのよ」と教え、「自分はやればできるんだ」と感じさせることが、二次障害を防ぐ上での重要なポイントなのです。
「自分はできる」と思えることを自己肯定感といいます。自己肯定感が育っている子どもは、多少の困難があっても工夫して、乗り越えることができるようになります。
発達障害のある子やその傾向がある子は、周囲の大人からほめられる機会があまり多くありません。「一緒に作戦を立て、できたらほめる」という育て方を徹底すれば、二次障害を起こさず、子どもの能力を最大限に引き延ばせます。