こんなこと,あるある!

著者:筑波大学 准教授 水野智美先生 

ケース1

039161「子どもと一緒に絵本を見ていても、子どもは絵本の端の方に描かれているこまごまとした背景のようなところにしか目が行きません。

先日も、犬の親子の絵本を読んだ後に、『この絵本に何がでてきたかな?』と尋ねると、『雲!』と答えます。

確かに、犬の親子が外で遊んでいる場面で雲が描かれていましたが、本題と大きく離れているのに…と愕然とします。」

ケース2

「うちの子どもは、なかなか物を探せません。

先日も、『冷蔵庫から牛乳を出して』とお願いしたのですが、『冷蔵庫の中に牛乳が見つからない!』と言って、大騒ぎします。

仕方がなく、私が冷蔵庫まで行き、中を見ると、ちゃんと牛乳があります。

子どもに、『ここにあるでしょ』と言うと、『いつも置いてあるところになかったから、わからなかった!』と自分は悪くないとばかりに怒ります。

でも、実際にあったのは、いつも置いてあった場所の隣りで、ちょっと視線を動かせば見えるはずなのに…と思ってしまいます。」

どう対応すると良いの?

発達障害のある子どもが見えている範囲はとても狭いと言われています。

それは、決して視覚に障害があるのではなく、「視界に入っているけれども、意識が向いていないために見えていない」状態なのです。

つまり、発達障害のある子どもは、細い筒を通して見ているようなもので、意識を向ける範囲が限定されているのです。

そのため、ケース1のように、ふと自分が目に留まった物で、興味がある物が描かれていれば、ずっとその部分を見ていて、他の部分は目に入りません。

また、ケース2のように、探し物を見つけられないことはよくあります。

たとえ、それが目の前にあっても見つからないのです。

いつも決まった場所にあれば、そこを見ることができますが、そこになければ、臨機応変に視線を動かすことは難しいです。

絵本の挿絵を見せても、大人が見てほしい物を子どもが見ているとは限りません。

子どもに見てほしい物があれば、「この犬を見て!」などと指をさして、意識を向けさせる必要があります。

なお、大きなサイズの絵本では、子どもはその中の一部しか見えていないので、できるだけコンパクトなサイズの絵本で、あまりたくさんのイラストが描かれていない物を選ぶとよいでしょう。

うまく物が探せないことについては、いつも決まった場所に置くことを心がけてください。

また、置き場所が決まっていない物を子どもに探させる時には、「冷蔵庫の中」という漠然とした表現を使うのではなく、「冷蔵庫の一番下の段の真ん中」などと、できるだけ具体的に伝えると、子どももその場所を見て、探しやすくなります。

著者紹介                                 ビシュケク1 (25)

水野 智美・・・筑波大学医学医療系 准教授 臨床心理士
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に取り組んでいる。