日常生活のこんなこと、あるある!

著者:筑波大学 准教授 水野智美先生 

085178「うちの子どもは、長い物を持っていると、安心して遊べるのですが、持っていないと不安になってしまいます。

細いヒモを渡すと、持っていたつもりが、どこかに置き忘れてしまったり、手から離れてしまっていたりするので、ふと手に持っていないことに気がついた途端、大泣きをします。

そこで、手から離れても見つけやすく、子どもが持っていた時に他の子どもにあたってもけがをさせない柔らかい素材の物を与えようと思って探したところ、ゴム製の大きなヘビのおもちゃがありました。

幸い、子どもがそのヘビのおもちゃを気に入ったので、それを持たせていました。

しかし、ある時、屋内の遊戯施設に連れて行ったときに、子どもが持参したヘビのおもちゃを持って遊んでいたら、周りのお友達から気持ちが悪いと言われ、避けられてしまい、周囲に誰もいなくなってしまいました。

子どもは気にせず、ヘビを持って遊んでいたのですが…」

 

「うちの息子が風邪をひいた時に、病院で処方された粉薬を幼稚園に持たせていました(飲むのは、嫌いだったので、結局は持っていくだけで飲まないのですが・・・)。

薬を持って幼稚園に行くことがお気に入りになってしまい、風邪が治っても、薬を持っていくんだと言って、聞きません。

仕方がないので、粉薬に近い形の物を探したら、夫が飲んでいる青汁の粉末がありました。

毎日、幼稚園に青汁の粉末を喜んで持っていき、先生に笑顔で渡しています。」

 

「うちの子どもの今のブームは、動物のしっぽの形をしたキーホルダーです。

家にいる時は、片時も手から離さず、ご飯を食べる時も寝る時もさわっています。

もちろん、保育園にも持っていきます。

保育園では、リュックサックにつけていますが、いつもロッカーの前にいて、キーホルダーをさわっているようです。

しかし、このブームは、だいたい1か月から2か月で別の物に移ります。

前回は猫じゃらしでした。

その前は、ハンディサイズのモップでした。

保育園でも、先生は『またおかしなブームが来た!』と喜んで見守ってくれます。

ただし、ブームが去ると、それまで寝食を共にしていたにもかかわらず、全く見向きもせず、その存在があったことすら忘れているようです。

ブームが去った後の残骸が箱の中に残っています。」

子どもにとってはお守り代わりです

「これがないと生活ができない」という子どもは、その物が子どもにとってはお守りなのです。

私たち大人も、知らない場所や言葉が通じない国に行った時に、自分が知っている物やわかる物があると、ホッとすることがあります。

それと同じで、このような子どもも、日常の生活の中でも、自分のお気に入りの物が身近にあると、「これがあれば大丈夫」と思うことができ、不安が解消されるのです。

そのため、不安と戦っているのだと思って、子どもがそれを持っていることを許してあげてください。

不安が解消されていくと、手にしていなくてもいい時間が長くなります。

また、最後の例のように、ブームの期間が短い子どももいます。

逆に、「これ」と決めた物でなければならない子どももいます。

ブームの期間が短ければ、代わりになる物を見つければすぐに気持ちを切り替えられます。

しかし、同じ物でなければならない場合には、違う物を子どもに与えても子どもは安心できません。

たとえば、お気に入りのぬいぐるみがなければ落ち着かない場合には、同じ物をもう一つ用意しておいた方が良いです。

しかも、子どもが使っていた物が無くなった時に、新品のスペアを出しても、子どもにとっては『違うもの』と感じてしまいます。

そのため、2つの物を子どもにわからないように交互に使わせて、同じぐらいに使い込んでいくようにするとよいでしょう。

 

著者紹介                                 ビシュケク1 (25)

水野 智美・・・筑波大学医学医療系 准教授 臨床心理士
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に取り組んでいる。