自分から進んであいさつができる子どもにするために…

お友だちのお母さんや近所の方にきちんとあいさつができません……

うちの子は4歳の女児です。お友だちのお母さんや近所の方にきちんとあいさつができません。
2歳ぐらいから、口をすっぱくして言ってきたのに……。
私が強く怒った次の日だけ、あいさつできるようになるのですが、なかなか自分からすすんではあいさつしてくれません。
どうすればいいでしょうか?

あいさつは親のまねをして覚えていきます

あいさつをする意義

あいさつは何のためにするのでしょうか。社会的な決まりごと、言わば社会のルールのようなものですね。大人の世界ではあいさつをしない人は「変わった人」とみなされ、相手にされなくなります。会社、近所、PTAなどのどの社会にもあいさつのできない人がいます。生活をしていくうえで、とても損をしてしまいます。

でも、子どもたちはあいさつの意義を理解していません。ただ、あいさつしないと叱られるので、あいさつは厄介なものだというとらえ方をします。あいさつができない子どもはその意義を感じていないのです。そういう子どもでは、叱るお母さんがそばにいなければあいさつをすることはないでしょう。

あいさつは親のまねをして覚えていきます。朝、近所の人に「おはようございます」と明るく元気に言う母親や父親の姿を見て、自然にまねをするようになります。そうすると近所の人は「ごあいさつが上手にできるいい子だね」と誉めてくれます。誉められることは子どもにとってとてもうれしいことです。近所の人に誉められるのは親もうれしいことなので、きっと後で子どもを誉めるでしょう。とてもいい循環になります。

保護者がお子さんの手本になっていますか?

母親は、お友だちの母親に対してどうあいさつをしていますか。「あら~」と言いながら、幼稚園に送迎に来たお母さん同士が話を始めている光景をよく見ます。この様子を見ていて、子どもにあいさつをきちんとしなさいと言っても無理じゃないかなと感じることがあります。家族間のあいさつをきちんとする約束を家族全員で作ることからはじめて、それがある程度できるようになってから外の世界でのあいさつに挑戦していきます。

子どもがあいさつを上手にできなかったら、親が手本になっていないのではないかと反省してください。うまくあいさつができたら子どもをしっかりとほめてあげてください。

回答者 徳田克己先生

筑波大学医学医療系教授。教育博士、臨床心理士、専門は子ども支援。全国の幼稚園、保育所などを巡回して、保育者や保護者を対象とした気になる子どもの相談活動を行っている。「気になる子どもの保育ガイドブック」「育児の教科書クレヨンしんちゃん」(福村出版)、「親を惑わす専門家の言葉」(中央公論新社)など、著書多数。