療育機関に通うことを保育者にどう伝えるべきか

療育機関に通うことを保育者にどう伝えるべきか

医療機関や療育機関などで指摘された子どもの特性、診断名、対応の仕方などは、子どものよりよい保育のため、保育者と共有することが大切です。しかし親の中には、「退園させられるのではないか」といった心配して、言い出せない人もいます。

家庭・保育者・専門機関の三者で一貫した対応を

しかし、子どもの障害を保育者に伝えなければ、子どもは園で困った状態のまま、放っておかれることにもなりかねません。専門機関による診断や対応法を保育者が知っていれば、それに応じた対応をすることができます。その情報をもとに、保育者がその子どもに適した対応を勉強・研究することもできるのです。

情報がないと、保育者は自分が行っている方法が、その子の特性に適しているのか自信がないまま保育することになります。さらには、保育者がよかれと思ってやっている対応が、専門機関や家庭での方法と異なり、子どもが混乱することも起こります。

子どもがそのような状態にならないためにも、家庭・保育者・専門機関の3つで、一貫した対応をすることが大事なのです。

入園前に障害がある、障害の傾向があることがわかっている場合も同様です。子どもの状態を知らせずに入園すると、のちに必要な支援を受けられない場合もあります。「入園を断られるのでは」と心配になる気持ちはわかりますが、子どもが困った状態のまま生活するのを防ぐためにも、子どもの状態をしっかりと伝えてください。

保育者と協力するために必要なこと <面談>

在園中に子どもに障害があることがわかった場合は、保育者と時間をとってしっかりと話してください。保育者には、医療機関などで伝えられた内容と、家庭での子どもの状態を伝えます。以下のことは必ず、具体的に伝えてください。

・障害名

・医療機関名・担当医師名

・発達検査の内容(検査の時期と検査結果)

・専門機関名(通所の頻度・療育の内容)

・医療機関や療育機関から伝えられた、子どもの特性

・医療機関や専門機関から受けたアドバイス

 専門機関と家庭と保育者が情報を共有し、同じように子どもに対応することによって、子どもの「わかること・できること」は増えていきます。

絵カードなどを、どこか一カ所が使用している場合は、ほかの2つの環境でも同じ絵カードを使用すると、子どもはとまどうことなく生活ができます。

保育者に求めてよい「協力の範囲」は?

「こんなことをお願いしたら、先生に迷惑をかけるのではないか」と心配する親は多いものです。もちろん、保育者はひとりで大勢の子どもを見ています。お父さん、お母さんが望むことすべてを行うことは不可能です。

しかし遠慮して何も伝えずにいては、子どもは「保育者の指示がわからない」状態で保育を受け続けることになります。

協力を求めてよい例

・視覚的な指示をする(絵カード、スケジュール表を使う)

・クラスの子どもたちに指示した後に、個別に指示をする

・席を前にする(注意散漫で気が散りやすい場合)

・子どもの名前の呼び方を家庭と同じにする

協力を求めてはいけない例

・集団活動が難しいので、つねに個別に活動させてほしい

・専門機関で行っている個別の言語指導を、園でも同じようにしてほしい

・家庭で通信教育をしているので、園でも通信教育の課題をさせてほしい

専門機関からの情報を保育者と共有するためには

できるだけ保育者には、医療機関や療育機関への同行を求めます。可能であれば、初診の際に同行してもらってください。保育の場での子どもの様子、困っていることなどを保育者から話してもらうことで、医師や専門家は子どもの状態を客観的に把握することができます。

 療育機関には、新年度が始まる前の春休みなどに同行してもらいます。同行の回数は、年に1~2回が望ましいです。可能であれば、保育者に療育の様子をみてもらいます。

見学後は、療育機関の職員、保育者、家族の三者で、子どもの様子についての情報交換をします。

医師、療育機関の職員などの専門家からは、子どもへの対応におけるアドバイスを受けてください。

※保育者の同行が難しい場合は、医療機関・療育機関へ書面や電話での連絡を求めてください。

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