10月のテーマ:乳幼児期の親子の食事について~離乳食の与え方~
第3回:離乳食の与え方
著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生
離乳食の意味って?
赤ちゃんは成長とともに動きが増え、母乳や粉ミルクを飲むだけでは栄養が足りなくなってきます。
離乳食には足りなくなった栄養を補う意味があります。
また、母乳や粉ミルクを飲むことは反射的にできるものですが、ものを噛んだり飲みこんだりすることは自然にできるものではありません。
舌やあごの動かし方を学習し、何度もくりかえし練習して、やっと食べるための動きを習得することができます。離乳食の時期は、食べ物を食べるための身体の使い方を練習する時期なのです。
離乳食開始の時期
一般的に5ヶ月ごろに離乳食を開始するのがよいと言われていますが、月齢だけでなく、赤ちゃんの身体の準備が整っているかどうかも確認するようにしましょう。
確認してほしいポイントは次の3点です。
まずは大人がものを食べていると、寄って来たり、興味を持って見ていることです。
何をしているのかな、と赤ちゃんが食事に興味を持つことが離乳食の第一歩です。
次に、支えがあれば座れる状態になっていることが必要です。
食事をするためには座る姿勢を一定の時間保つ必要があるためです。
そして、もう一つのポイントはよだれがしっかり出ていることです。
ものを消化したり飲みこむためには唾液が必要です。赤ちゃんは生後3ヶ月ごろからよだれの量が増えていきますが、これは身体がものを食べるための準備をしているのです。
また、離乳食の後期になると食べさせてもらう状態から次第に自分で食べるようになっていきます。
自分で食べる時期に大切なのが、手づかみ食べをすることです。
お子さんが手づかみで食べている様子を見て、このままずっと手づかみで食べるようになるのではないかと不安に思う方がいらっしゃるかもしれませんが、心配しないでください。
手づかみ食べをすることによって、「次はあれを食べよう」と見た物に手を伸ばして口まで持ってきて食べるなかで、見る力や手で物を扱う力がつきます。
また、自分の口に入る量はこれくらいなんだ、と認識して食べる量を調整する力を身につけることもできます。
さらに、自分で食べたい、と思ったものを口に入れることで自分で食べる意欲を満たすことにもつながります。
たくさん手づかみ食べをした子どもは、食器を扱う力を身につけています。
さらに自分で食べようとする意欲も育っているので、食器を使って自分で食べるという次の段階にスムーズに移ることができます。
著者紹介
西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。
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