9月のテーマ:「トイレについて」~トイレトレーニング、こんな時どうする?~


第3回 トイレトレーニング こんな時どうする?

著者:東京未来大学 こども心理学部 講師 西村実穂先生

   子ども支援研究所 専任相談員 大越和美先生

①保育所を利用している時

トイレトレーニング 保育所ではトイレでおしっこができるのに、うちではできないことや、反対にうちではトイレでおしっこができるのに保育所ではできないということがあります。

保育所でのトイレへの誘い方と、おうちでのトイレへの誘い方が異なるのかもしれません。

トイレが暗い、寒いなどトイレの環境が違うためにトイレに行きたくないと言っているのかもしれません。

保育所の先生にトイレトレーニングのようすをよく聞き、保育所と家庭でできるだけ違いがないようにします。

そして、もうひとつの原因として考えられることはお母さんに甘えているということです。

保育所で過ごしている間、子どもは楽しく遊んでいるだけではありません。

おうちでは独り占めできるおもちゃも、保育所では順番に使わなくてはなりません。

同じクラスのお友だちとけんかをしてしまってモヤモヤとした気持ちを抱えている日もあります。

行事があれば、いつもと違う様子に緊張することもあるでしょう。

子どもたちは、保育所にいる間、がまんをしたり、緊張したりとがんばっています。やっと安心できる場所であるおうちに帰ったのに、おしっこをもらしちゃいけない、と緊張がずっと続くのは少しかわいそうです。

そんなときにはトイレトレーニングは少しの間お休みしてしまいましょう。お母さんにたくさん甘えて、子どもの気持ちが落ち着いてきたらトイレトレーニングを再開しましょう。

 

②うまくいかなかった時に・・・

おむつ卒業トイレトレーニング、前まではうまくいっていたのに、最近失敗ばかり・・というように、順調に進んでいたトイレトレーニングがうまくいかなくなってしまうときがあります。

お母さんのなかには、私のやり方がいけないの?と悩んでしまう方もいることでしょう。しかし、トイレトレーニングがうまくいくかどうかはトレーニングのやり方だけはなく、子どもの体調や子どもの気分に左右されるものです。

おもらしが続いてお母さんがイライラしてしまうときには、トイレトレーニングを一旦お休みしてみてください。

1、2週間たって、お母さんの気持ちが落ち着き、前向きにトイレトレーニングに取り組めそうだと思うことができたら、トイレトレーニングを再開します。

 また、おもらしをしてしまっても、まぁいいか、と捉えるタイプのお母さんと、失敗しちゃった…と落ち込んでしまうタイプのお母さんがいます。

お母さんが落ち込んだり怒ったりすると、子どもがそれを察知します。

子どもが「失敗できない」という思いになると、さらに失敗してしまったり、おしっこを漏らしたことを言えなくなってしまいます。

おもらしをしたら子どものことを怒ってしまいそうだなと思う人は、トイレトレーニングの開始時期を遅めにすることをお勧めします。

前回のコラムで、一日の半分以上、トイレでおしっこができるようになったらおむつをはずす目安だと書きました。

しかし、子どものことを叱ってしまいそう、という人は一日の4分の3以上トイレでおしっこができるようになったらおむつからパンツに替えるようにしてみてください。

おむつをつけている期間は長くなりますが、おもらしをした子どもにイライラする回数は減ります。子どもはがお母さんに叱られなくなると、緊張しておもらしをすることが減り、結果的に早くおむつが外れるかもしれません。

 

著者紹介

西村実穂
東京未来大学こども心理学部 講師 看護師・保育士
乳児保育の専門家として、近年は院内保育や子どもの食に関する問題、気になる子どもの保育の研究に取り組んでいる。
保育所や幼稚園を巡回し、気になる子どもの関する相談活動を実施している。

大越和美
子ども支援研究所 専任相談員
特別支援コーディネーターとして長年幼稚園に勤務。
現在は、数多くの保育園や幼稚園を
巡回し保育者や保護者の支援に取り組んでいる。

 

過去のコラムはこちらから

9月第2回「トイレトレーニングの進め方」を読む

9月第1回「トイレトレーニングの準備について」を読む

8月のコラム「子どもの睡眠について」を読む

7月のコラム「テレビ・ビデオの見せ方」を読む

6月のコラム「祖父母との上手な関わり方」を読む

5月のコラム「病院のかかり方」を読む

4月のコラム「叱り方について」を読む