発達障害にまつわる「あるある」&解決案シリーズ第3回
大人の対応が裏目に出てしまう……

著者:筑波大学 准教授 水野智美先生

ケース1「先生の言うとおりにしたけれど……」

「うちの子どもは、ピカピカ光るものが大好きです。

幼稚園に行くと、先生用の靴箱から、エナメルの靴を見つけるたびに、その靴を持って行ったそうです。

いつも靴を持って行かれて困った先生は、うちの子どもに、身振り手振りをつけて(鼻をつまみ、しかめっ面をして)、次のように教えたそうです。

『先生の靴は、臭いです。さわりません』と。

先生が教えたやり方をうちの子どもはとても気に入りました。

おかげで、靴を持っていくことはなくなりましたが、そこを通る人をつかまえては、先生がした時と同じように、『先生の靴は、臭いです。さわりません』と教えていたようです。

先生も、たいていの場合は許していたようですが、知り合いの業者の方が幼稚園に来たときにも、その人に『先生の靴は、臭いです。さわりません』と教えていたのを見た時には、穴があったら入りたい気持ちだったそうです。」

ケース2「親の言いつけを守ったけれど……」

「うちの娘は、私がどこに行く時にも一緒について来ます。トイレにもついて来ようとします。トイレぐらいは一人になりたいので、外で待っているように言ったら、トイレのドアの下の隙間から一生懸命にのぞいています。仕方がないので、ドアの隙間から『のぞきません』と言いながら×を描いた絵カードを見せて、のぞかないように教えていきました。

ある時、娘とショッピングセンターに行った時のことです。

トイレに娘を連れて行くと、トイレの入り口で娘は『のぞきません!』『のぞきません!』と大声で叫びます。

娘としては、親の言いつけを守らなくてはいけないと思ったのでしょうが、周りの人たちはギョッとしてこちらを見るので、親としては恥ずかしくて仕方がありませんでした。」

ケース3「約束は守ったけれど……」

「クリスマスが近づき、『サンタさんの電話番号を教えて』と毎日しつこく聞いてくる我が息子。

一日に何十回と聞いてくるため、こちらもうんざりしていました。そこで、自宅の電話番号を教え、『もう、サンタさんの電話番号は聞かないでね』と約束をしたら、一度も電話番号を聞いてこなくなりました。

しかし、ホッとしたのもつかの間。次の日から、幼稚園の先生やお友達など、会う人会う人に我が家の電話番号を教えていたようです。」

大人の指示を忠実に守るけど……こんなとき、どう対応したらいい?

発達障害のある子どもは、「ある意味では」律儀に大人の指示に従います。

上の例でも、「靴箱から靴を持っていかない」、「トイレをのぞかない」、「電話番号を聞かない」という指示は、ちゃんと守っています。

ただし、臨機応変に行動することができません。

親や先生に言われたら、それはどんな時にでも、だれにでもあてはめて行動してしまうので、大人が意図しないところで、発言してしまったり、他の人に言わなくてもいいことを言ってしまったりします。

そのため、子どもにやってほしくないことを教えてしまうと、それは家の外でも、誰にでもしてしまいます。

笑って済むようなことならばいいのですが、他の人が不快に感じるようなやり方になってしまう可能性がある場合には、要注意です。

どこでも、誰の前でもやってもよい方法を教えていくようにしましょう。

 

著者紹介

水野智美先生

筑波大学医学医療系准教授。臨床心理士。
専門は命の教育、乳幼児期の臨床保育学、障害理解。
近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に取り組んでいる。

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